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書の美を求める果てしない道程を思えば、一日一日が文字通り修行の日々であり、心田叫作の日々であります。「万徳円満の書」という理想を掲げながらも、その理想美を追い求める「心田畔作の書」という方がふさわしいといえるかもわかりません。書の美を求めて一歩一歩、歩む毎日です。そしてこのたび還暦を書生活の一つの区切りと考え、「聖と美と書と」をテーマに「干書展」と名づけた書作展を東京・朝日生命ホールで開くことができました。
本書は、この時の作品を中心に、書作集として、また、書作のための参考作例集として編んだものです。私の心田畊作の書が書を学ぶ方、これから作品を書こうとする方の参考になれば大変幸せであります。川邊尚風。
(A4版124頁;楷、行、草、篆、隷、甲骨、仮名作品を掲載。本体2,000円)
「無量壽」。「無量寿如来根本陀羅尼」から頂戴し、半折と聯落手1/2の二つの作品にした。半折の作品は、[無」は幅広くも長くもできるが、「量」はどうしてもタテ長になる形の字である。ここでは「無」を割合に幅広くとり、「量」は手の動くまま細長くし、「壽」では縦、横ともに大きな形にした。 「量」の横がひろく空いているので、その部分に落款を強めに入れて強さを補強してみた。
「瓢蕭」。ひょうしょう。「瓢」はひるがえるさま。「蕭」は風のさびしく吹くようすという意味かおる。こころを打つことばに出合うと、出典をメモすることも忘れ、すぐ筆をとることがよくある。このことばもそのひとつである。
「萬法歸一」。万法一に帰す。万法はこの世に於ける一切の存在、一はここでは真如、真理と解する。唐紙に松煙墨を用い、長鋒・羊毫で書いた。「萬」の第一画は、墨を多く含ませたため墨がポタリと落ち、まんまるい点になってしまった。あとは勢いにまかせて書き流した。「歸」と「一」がくっついているのは、一気に書いたためで作為ではない。