書道教室 一般社団法人日本書法院

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色紙の書き方

  色紙は贈る相手のこと、飾る場所のことを考えてことばを選び、書き方を工夫しなければならない。しかも、多くの人に鑑賞されるものであれば、書的な美-芸術性も求められるであろう。

  一般の方が、いざ色紙に向かって筆をとりながら、なにを、どう書こうかとまよってしまうのは、せまい紙面に文字をしっとりと調和させる技法とともに、このような条件をも満たしたいと思うからで、「色紙でいいから」というほど、色紙を書くことが簡単でないことを思い知らされるのである。

  本書は、このような方々のために、色紙の書き方をやさしく解説した。豊富な作品を目的別、用途別に分類し、一つ一つの作品の書き方を説明しながら、色紙の書き方が自然と身につくように工夫した。

  本書によって色紙を前にして戸惑い、いたずらに失敗を重ねる読者はなくなると自負している。 しかし、書の美を求めれば限りなく深い。そして、書の技法が高められてくると、その人の心の高さ、深さ、美しさが文字に表現されるようになる。「文字はことばの形、書は心の姿」なのである。書の技法、書の表現法は、たゆまぬ練筆、練心による以外に上達の道はない。この機会に書を友とし、永く、たのしく書に親しんでいただきたいと思う。そうすれば、贈る相手に喜ばれ、感動されるような色紙が必ず書けるようになるであろう。

  本書に掲載した色紙は、誰にでもわかることば、誰にでも書ける書法を目的とした。ちょっとむずかしいかなと思うものでも、一年ぐらい書を勉強すれば、誰でも書けるものである。書を贈り、ことばを贈る、このきわめて東洋的な精神性の高い慣習が、さらに普及していくことを願うからである。川邊尚風。(本体1,500円)

 

一期一会

  色紙に四字を書くとき文字に大小、太細、潤渇などの変化をもたせる 。                    四字のときは、二字と二字の二行、三字と一字の二行、四字を一行に、というように書きます。                      ときには、最初の一字を大きく書いて、二行めに三字を小さく書くこともあります。    字数が多くなると、同じような書き方の字を並べたのでは変化がなく、面白昧や味わいにも欠けます。こんなとき、全体の調和を考えながら、文字の大きさに変化をもたせます。あるいは線の太い字と細い字、墨をたっぷりと含ませた字とかすれた字などの工夫をします。                  しかし、このように文字に変化をもたせながらも、最後には相互に生かし合って、全体に調和のとれたものにしなければなりません。

飛翔

  色紙を右上から左下へ対角に使う典型的な例である。すっきりと仕上がったので、落款は印のみとした。「飛」が「翔」よりも軽いかなという感じがして引首印を捺してみたが、軽い感じのわりには力を入れ、気迫をこめて書いているのがおわかりいただけるだろうか。

 

  禅門、とくに臨済宗の修行僧を指導する手段として使われる。生も死も、愛も憎も、すべての妄想、分別を断ち切るという一喝というので、入筆にすべてをかけ、鋭く一筆を入れたもの。